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【ひろゆき】「静かなる水は深い」:メキシコのコーラから始まる社会批評とユダヤ人の知恵まで【ひろゆきQ&Aまとめ】

Q:今日のビールはどんな味ですか?

A:ひろゆきさんが今日選んだのは「コロナサンセット」というメキシコのビールです。アルコール度数は5.9%。通常のコロナよりも強めで、スピリッツがブレンドされているとのこと。スタートから雑談ムード全開ですが、この軽い話題が思いもよらぬ方向へと展開していきます。


Q:メキシコのコーラはなぜ「世界一おいしい」と言われているのですか?

A:「実は国によってコカ・コーラの味が違うんですよ」とひろゆきさんは語ります。メキシコ産のコカ・コーラは、サトウキビ由来の砂糖を使っており、人工甘味料(果糖ぶどう糖液糖)ではないため、より自然な甘さがあるそうです。

また、メキシコは一人当たりのコーラ消費量が世界一。なんと、1人あたり平均で1日1リットルのコーラを飲むと言われているほど。これは日本人が水を飲む感覚でコーラを飲んでいるようなもので、水道水よりも糖分や炭酸のある飲み物の方が「飲みやすい」と感じる背景があるようです。


Q:音量設定の話題からノイズ対応の工夫について話していましたが、そこに学びはあるのでしょうか?

A:実はこの雑談中に、配信時のマイク音量設定についても言及があります。ひろゆきさんはストリームヤードの「ボリューム自動調整機能」を一時的にオフにし、マイク本体で調整していました。技術的には些細な内容かもしれませんが、「失敗を踏まえて慎重に触る」という姿勢が、地味ながらも共感を呼ぶ一コマです。


Q:コーラやドクターペッパーの味にアメリカらしさを感じるのはなぜ?

A:炭酸飲料についても、アメリカの方が「喉越しが良い」「乾燥地帯に合ってる気がする」といった主観が語られます。気候や生活習慣が味覚に影響を与えるという示唆も興味深く、文化と嗜好の関係をさりげなく投げかけるひろゆきさんらしい視点でした。


Q:農家が収入を「隠しやすい」構造についてどう思いますか?

A:「クロヨン」という言葉を交えながら、農業関係者の申告率の低さに言及。「クロヨン」とは、サラリーマンが9割、自営業者が6割、農業従事者が4割しか収入を申告していないという俗説に由来しています。

特に自家消費や親戚へのお裾分けの扱いがグレーになりやすいこと、農産物の取引が現金中心であることなどから、「どうやってもバレにくい」構造が放置されているとの指摘です。

「税務署が来たら『収穫の前日に腐ってダメになった』って言えば終わりですからね」

こうした話には、日本社会の「不透明さ」と「なあなあ文化」が色濃く現れており、制度への信頼の問題に繋がっています。


Q:農家や漁師はなぜ申告しない人が多いのですか?

A:ひろゆきさんによると、農業や漁業には「物々交換」や「贈与」が日常的に行われており、それが売上として申告されていないことが多いのだとか。

  • 例1:収穫した米を親戚に渡しても、売上として記録しない

  • 例2:漁師が釣った魚(市場に出せないウツボなど)を近所に配る

それが習慣化してしまうと、「申告する側が浮く」構造になり、正直者がバカを見る状況が放置されることになります。


Q:「迷惑系はNG」って本当にそうでしょうか?

A:「目立たないデモは意味がない」とひろゆきさんは言います。パリで遭遇したタクシーによる道路封鎖デモ(Uber反対運動)を引き合いに出しつつ、「迷惑だからこそ人は問題に気づく」と語っています。

沖縄の辺野古基地反対運動や、財務省前のデモに対しても、やり方の非効率さを指摘しつつ、「困らせることの意味」を認めているのが印象的です。


Q:ウーバー問題は単なる競争ではないのですか?

A:パリでは、ウーバーとタクシーが混在しており、タクシー運転手がウーバーでも副業をしている例が多いそうです。

「僕もパリの空港でウーバーで呼んだら、タクシー運転手が“現金で払って”って言ってきました」

このような非公式のやりとりが起きる背景には、アプリの統一性がないこと、タクシー会社の連携不足があると指摘。制度面からの改善策として、「タクシー連合での全国共通アプリ開発」の必要性にも触れています。

Q:参政党の「憲法創憲」案について、ひろゆきさんの見解は?

A:参政党が掲げた「憲法を創憲する」という方針に対し、ひろゆきさんは「それってクーデターと同じ意味」と断言します。

憲法は改正はできても、いきなり創るのは現行制度の否定になる」

現行憲法では、国民主権のもと、憲法の改正手続きが定められています。「創憲」とはその枠組みを飛び越えて“新たに作る”ことを意味し、制度的には革命やクーデターと同義になるというのがひろゆきさんの指摘です。


Q:なぜ「俺たちの憲法」が危ういのですか?

A:憲法の条文すべてに意味と機能があるのに、それを一から作る発想は「車輪の再発明」に過ぎないと批判します。

「まずいのは、参考にしないで1から作ろうとすること。普通の人なら前例を元に改良しようとする」

と、実務家としての視点を交えつつ、過去の知見を無視する「素人政治ごっこ」への警鐘を鳴らします。


Q:アルコールはなぜ世界中で飲まれてきたのですか?

A:「アルコールは人類の生存戦略だった」と、ひろゆきさんは言います。

「腐った水を飲むくらいなら、アルコールのほうがマシだった」

古代エジプトでは、ビールが給料代わりだったとも言われており、水よりも安全な飲み物として普及した背景があります。ワインやビールは放置しても自然に発酵するため、技術よりも偶然性が導いた文化でもあるようです。


Q:宗教と酒の関係については?

A:宗教儀礼とアルコールの関係にも言及し、「アルコールで酔っ払ってるほうが、神の奇跡を信じやすい」と話します。実際、キリスト教の儀式でもワインが用いられますし、日本でも神前でのお神酒(みき)は日常的です。

この話は、宗教が人間の理性より感情を重視するメカニズムに関係しており、アルコールが「信仰の道具」として機能してきたことを示しています。


Q:障害者手帳を取ることに対する偏見についてどう思いますか?

A:「周囲の批判はバカだから気にしなくていい」と一刀両断。

「根性論で否定してくる人って、うらやましいんですよ」

障害者手帳を取ることで生活が楽になった人に対し、根性論や妬みで批判する人が出てくる背景についても丁寧に読み解きます。こうした偏見は「支援を受けている人がズルい」という心理に起因すると指摘します。


Q:中指を立てて契約解除された件は妥当ですか?

A:「はい、妥当です」

欧米では中指を立てる行為は最大の侮辱を意味し、企業ブランドの信用問題に直結します。会社が顧客や外部関係者からの信頼を守るために解雇するのは当然だと説明。冗談のつもりでも、それが通じない職場では致命傷になり得るという現実を強調します。


Q:AIの未来や量子コンピューターで人類の謎は解ける?

A:
「解けません」

量子コンピューターができれば、現在の暗号技術(SSLなど)が破られ、ネットバンキングやECの基盤が壊れる可能性はあるものの、「宇宙や脳の謎」など、理論計算では解けない問いには非対応だと語ります。

つまり、技術的ブレイクスルーには限界があるということ。夢を否定せずとも、「現実的な範囲で期待したほうがいい」と冷静な判断を促しています。


Q:酔った状態での発言は信じていいですか?

A:「僕が正しいことを言っているとは限りません」

動画の概要欄にも記載されている通り、ひろゆきさんは配信中に酒を飲んでいることを前提に、「話半分で聞いてください」と明言しています。この自己相対化こそが、彼の人気の秘訣の一つでしょう。


Q:早期退職や3日で辞める若者についてどう思いますか?

A:「辞めたいなら早く辞めろ。3日で辞めるやつは基本的に優秀じゃない」

ひろゆきさんは我慢ができることこそが“仕事ができる人”の条件と述べています。理不尽に対処し、長期的に乗り越える力がない人は、どんな環境に行っても結局辞めると。

「我慢できない人が優秀なケースを僕は見たことがない」

という極端な言い切りにも、共感するビジネスマンは多いかもしれません。


Q:勉強ができる子どもはどうやって育つの?

A:
「同級生が優秀なことが、実は一番大きいんですよ」

教育熱心な家庭環境よりも、「まわりができてるから自分もやるしかない」という空気の方が効果的だというのがひろゆきさんの意見。これは環境要因の大切さを示す心理学的な知見とも一致しています。


Q:静かな人の方が怒らせると怖いって本当ですか?

A:
「本当です。静かなる水は深い、です」

これは今回の動画タイトルでもある「静かなる水は深い」の意味にも通じる話です。普段は穏やかで物静かな人ほど、怒ったときの破壊力がすごいという、まさにことわざ的真理を端的に表しています。


おわりに:酔いながら語る“鋭い真実”

配信では、コーラやビールといった緩やかな話題からスタートしつつ、制度批評・社会観察・憲法論・宗教論・心理的洞察まで縦横無尽に展開されました。

ひろゆきさんの発言は、必ずしもデータに基づいて正確とは限りませんが、その“ズレた視点”や“シンプルな論破ロジック”が多くの人にとって「考えるきっかけ」となっていることは確かです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


出典元:
YouTubeライブ「静かなる水は深い。Corona Extra “Mexique” L22」
配信リンク:https://www.youtube.com/live/eciORpKgelc?si=zUfhz8iidITClHYV

読後のひと考察──事実と背景から見えてくるもの

テーマ1:メキシコのコーラはなぜ“世界一おいしい”と言われるのか

メキシコ産のコーラは「世界一おいしい」と語られることがあります。その理由としてしばしば挙げられるのが、甘味料の違いです。アメリカ市場では1980年代以降、高果糖コーンシロップが主流となったのに対し、メキシコ産の輸出向け製品ではサトウキビ由来の砂糖が使われてきました[1]。ただし、ブラインドテストでは味の違いを明確に区別できないこともあり[2]、砂糖の種類だけで味の優劣を断定するのは難しいと考えられます。

また、メキシコが世界でもトップクラスの清涼飲料消費国であることも事実です。年間一人あたりの摂取量は数百リットルに達し、地域によっては1日1リットルを超えると報告されています[3]。しかし、この大量消費は健康問題とも直結しています。OECDの調査では、メキシコは糖尿病関連の死亡率が加盟国で最も高い水準にあり[4]、砂糖入り飲料の過剰摂取がその要因の一つとされています。

こうした背景から見えてくるのは、「美味しさ」という評価が必ずしも成分の差だけで説明できるわけではないという点です。瓶入り製品の雰囲気や「本場」の物語性といった文化的要素が、味覚の印象に大きく影響していると考えられます。美味しさとは化学的な甘味料だけでなく、社会的・心理的文脈の中で形成される価値でもあるのです。

私たちはここで、「味わい」と「健康リスク」が交錯する場所に立たされています。文化の魅力と健康の課題、その両面をどう受け止めるべきか──静かな問いかけが残されます。

テーマ2:農業・漁業と申告の不透明性(クロヨン問題)

日本で語られる「クロヨン」という俗説は、給与所得者は9割、自営業は6割、農業従事者は4割しか所得を申告していないというイメージを示す言葉です。しかし、これは実証的な統計に基づくものではなく、税務学の分野でも「社会的イメージが独り歩きしている」との指摘があります[5]。

国際通貨基金IMF)の推計によれば、日本の「影の経済」の規模はGDP比で約8%前後とされ、OECD諸国の平均より低い水準にあります[6]。つまり、農業や漁業だけが突出して不透明な分野であると断定するのは慎重さを欠きます。

ただし、農業や漁業には自家消費や地域内での贈与、現金取引の比率が高いという特徴があります。そのため、他産業に比べて「帳簿に残りにくい収入」が生じやすいことは事実です[7]。こうした構造的な特性が、いわゆる「クロヨン神話」の背景にあると考えられます。

近年では、こうした不透明性を是正するため、国税庁が取引の可視化を進めています。2023年から導入されたインボイス制度は、複数税率下での消費税処理を明確化するだけでなく、取引情報を記録・管理することで課税の透明性を高めることを目的としています[8]。

この視点からすれば、問題の本質は「特定の職業が不誠実」ということではなく、「誰もが正しく申告できる環境を整えているか」という点にあります。取引のデジタル化や制度の簡素化が進めば、業種を超えて公平な納税行動を支えることが可能になるでしょう。

結局のところ、税における不透明さを解消するには、職業ごとの偏見を強調するのではなく、社会全体の制度設計を見直す視点が求められているのです。

テーマ3:「迷惑系はNGか──抗議活動の正当性と限界」

抗議活動が社会に与える影響については、古くから議論があります。ある立場では「人々に迷惑をかけることで初めて問題が可視化される」とされますが、他方では「過激な抗議は社会的支持を失わせる」という指摘もあります。どちらも一定の実証的根拠を持ちます。

米国の研究では、1960年代の公民権運動において、非暴力的なデモが報道され、弾圧の様子が可視化されたときに世論や投票行動が変化したことが確認されています[9]。一方で、暴力的・攪乱的な抗議が発生すると、社会的支持が逆に減少したケースも分析されています[10]。つまり「迷惑」の度合いと形態によって、社会的効果は正反対になり得るのです。

心理学や社会運動論の分野でも、非暴力的な抗議がより広範な支持を得やすい一方で、道路封鎖や業務妨害などの強い攪乱行為は「問題提起」と「反感」の両方を同時に生み出すと整理されています[11]。さらに、過激な抗議があることで温和な抗議が相対的に支持を得やすくなる「ラディカル・フランク効果」も指摘されていますが、その有効性は状況に左右されやすいと報告されています[12]。

近年の環境運動でも、交通遮断や美術館での抗議などが注目を集めましたが、短期的には課題の認知を高めつつも、世論調査では「やり方に反感を持つ」という回答が増えるケースもありました[13]。抗議活動は「伝える力」と「失う信頼」の間で常に綱引きをしているといえるでしょう。

結局のところ、抗議活動が正当かどうかは抽象的に決まるものではなく、その方法・文脈・目的によって評価が大きく変わります。問い直すべきは「迷惑かどうか」ではなく、「どのような抗議が問題解決につながり、人々の対話を生み出すか」という点にあるのではないでしょうか。

テーマ4:「創憲」と「改憲」──制度的な意味と正当性

憲法をめぐる議論では、「改憲」と「創憲」という二つの概念が語られます。改憲とは、現行憲法が定める手続きを経て条文を修正することを意味します。日本国憲法では第96条において、国会の発議と国民投票による承認がその手続きとして規定されています[14]。一方、「創憲」とは、既存の憲法を前提とせずに、新たに憲法を制定する行為を指します。

憲法学では、改憲は既存の法秩序内の行為であるのに対し、創憲は「憲法制定権力」と呼ばれる、より根源的な権力の発動と位置づけられます[15]。歴史的には、革命や国家の独立といった特異な状況において「創憲」が行われた事例が見られますが、通常の民主的プロセスの中で用いられる概念ではありません。

また、現代の比較憲法学では、「創憲」を正当化する場合であっても、既存の憲法秩序や民主的原則との断絶が問題視されます。制度の連続性を重視する観点からは、国民主権の下で憲法改正手続きを尊重することが法治国家の安定につながると考えられています[16]。

したがって、「創憲」という言葉を軽々しく用いることは、現行憲法秩序の否定と受け止められる可能性があります。憲法の役割が権力を制限し、市民の権利を保障するものである以上、変更の手段は正統性と透明性を兼ね備えている必要があるのです。

憲法をどう扱うべきかという問いは、単なる「改憲か創憲か」という二分法にとどまりません。むしろ、「どのような手続を経て社会の合意を形づくるのか」という、民主主義の根本に関わる問題を私たちに投げかけているのです。

テーマ5:アルコールと人類史──生存戦略と宗教的役割

古代社会においてアルコールが重要な役割を果たしてきたことは、考古学や歴史学の研究で明らかにされています。古代エジプトではパンとビールが労働者への給与代わりとして支給され、また儀式や日常の栄養補給にも広く用いられました[17]。メソポタミアや中国でも、自然発酵によって得られる酒は文化の形成に深く関わっていたと考えられます。

ただし、「アルコールは不衛生な水の代替として人類の生存戦略だった」という説明は、近年の研究では必ずしも単純化できないと指摘されています。確かに中世ヨーロッパの都市では水質汚染が深刻であり、低アルコール飲料(エールやビール)が日常的に飲まれていたとされますが、同時期でも農村や井戸水の利用環境によっては必ずしもアルコールが必須ではなかったことも分かっています[18]。このため、アルコールの普及は安全性だけでなく、嗜好性や社会的結束の役割も大きかったとみられます。

宗教との関係では、古代ギリシャやローマの神事、ユダヤ教キリスト教におけるワイン、日本の神前で用いられる神酒など、多くの文化で酒が聖なる儀式と結びついてきました。人類学者の研究では、アルコールが「トランス状態」や「共同体の一体感」を生み出し、宗教儀礼の機能を支える装置として作用してきたことが示されています[19]。

一方で、現代の公衆衛生学ではアルコールの健康リスクが強調されています。世界的な疫学研究によれば、「健康にとって安全な飲酒量は存在しない」とされ[20]、少量であっても疾病リスクを増大させると報告されています。つまり、歴史的に重要だったからといって、現代における飲酒のリスクを過小評価することはできません。

アルコールの歴史は、人類が環境に適応しつつ、社会や宗教を形づくってきた証でもあります。そして同時に、現代社会においては「文化の継承」と「健康リスク管理」という二つの課題をどう調和させるかという問いを私たちに残しています。

テーマ6:早期退職と若者の就業観──“我慢”の価値をどう捉えるか

「すぐに辞める若者は優秀ではない」という見方は、日本社会で根強く存在します。しかし、労働経済学や心理学の研究は、必ずしもこの考え方を裏付けてはいません。むしろ、早期離職が必ずしも能力不足の表れではなく、労働市場流動性や働き方の多様化を示す側面もあることが明らかになっています。

厚生労働省の調査によれば、新卒就職者の約3割が3年以内に離職しています[21]。これは一見「忍耐力の欠如」とも解釈されがちですが、国際比較をすると日本の早期離職率は必ずしも高いわけではなく、OECD諸国の平均と同程度です[22]。むしろ、離職を経て新しい職場に移ることでスキルのミスマッチを解消し、長期的に生産性を高める可能性も指摘されています。

心理学の観点では、「グリット(やり抜く力)」が成功要因の一つとして注目されていますが、近年の研究では「やめる決断」を適切に行う柔軟性も同じくらい重要だとされています[23]。同じ職場で我慢を重ねることが必ずしも最適解ではなく、むしろ環境を選び直すことが個人のキャリア形成に有益な場合も多いのです。

また、デジタル化やリモートワークが進展する現代では、従来の「終身雇用モデル」が必ずしも前提とされなくなっています。欧米諸国ではキャリアの途中で複数回の転職を経験することが一般的であり、日本も徐々にその傾向に近づきつつあります[24]。

このことから考えると、「早期退職=劣等」という単純な図式は現実を反映していません。むしろ重要なのは、離職や転職が本人のキャリア目標や社会的な生産性の向上につながっているかどうかを見極める視点です。

「我慢」と「柔軟性」のどちらを重視するか。これは、これからの働き方を考えるうえで避けて通れないテーマといえるでしょう。

テーマ7:教育と環境──学力を左右する“同級生効果”

「学力の高い同級生と過ごすことで自分も伸びる」という考え方は、教育経済学で「同級生効果(peer effects)」と呼ばれ、長年研究されてきました。確かに、多くの実証研究では、周囲の学力や学習態度が個人の成績に影響を与えることが示されています[25]。これは単に競争心が刺激されるだけでなく、学習習慣や学級の雰囲気が学びやすさに直結するためです。

一方で、この効果は必ずしも一方向的ではありません。OECDの国際学力調査(PISA)によれば、学力が高い子どもだけでなく、困難を抱える子どもにとっても「学級の質」が学習成果に大きく関わることが示されています[26]。つまり、優秀な同級生が多い環境が常に良い結果を生むとは限らず、教師の指導力や学校全体の文化が重要な媒介要因となっているのです。

また、教育社会学の研究では、「トラッキング」(学力別のクラス編成)が不平等を拡大するリスクも指摘されています。高学力層に囲まれた生徒は恩恵を受けやすい一方で、低学力層に振り分けられた生徒は学習意欲をさらに失いやすくなる可能性があります[27]。そのため、同級生効果を重視するあまり、分断を助長してしまうことには注意が必要です。

さらに、非認知能力の育成においては「多様な背景を持つ仲間と学ぶこと」自体が大きな教育的価値を持つとされます[28]。学力水準のみに注目するのではなく、多様性を活かしながら互いに学び合える環境を整えることが、これからの教育に求められていると考えられます。

結局のところ、「誰と学ぶか」は確かに重要ですが、それ以上に「どのような関わり方を支える教育環境を築くか」が決定的に重要です。同級生効果をどう活かすかは、社会全体の教育観に深く関わる問いと言えるでしょう。

出典一覧

[1] Mexican Coke(2025), Wikipedia, The Coca-Cola Company — https://en.wikipedia.org/wiki/Mexican_Coke

[2] López-Alt, J. Kenji(2023), “Is Mexican Coke Better? The Food Lab, Drinks Edition”, Serious Eats — https://www.seriouseats.com/coke-vs-mexican-coke

[3] World Population Review(2025), “Coca-Cola Consumption by Country” — https://worldpopulationreview.com/country-rankings/coca-cola-consumption-by-country

[4] OECD(2023), “Obesity Update”, OECD Publishing — https://www.oecd.org/health/obesity-update.htm

[5] 國武真央(2017), 「クロヨン神話と日本の税制」, 日本租税研究協会 — https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/87/01/pdf/312.pdf

[6] Medina, L. & Schneider, F.(2018), “Shadow Economies Around the World: What Did We Learn Over the Last 20 Years?”, IMF Working Paper — https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/WP/2018/wp1817.ashx

[7] 農林水産省(2020), 「農業経営と現金収支」, 農林水産省https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/keiei/pdf/keiei.pdf

[8] 国税庁(2023), 「インボイス制度について」, 国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm

[9] Wasow, O.(2020), “Agenda Seeding: How 1960s Black Protests Moved Elites, Public Opinion, and Voting”, American Political Science Review — https://www.cambridge.org/core/journals/american-political-science-review/article/agenda-seeding-how-1960s-black-protests-moved-elites-public-opinion-and-voting/136610C8C040C3D92F041BB2EFC3034C

[10] Wasow, O.(2020), “The protests…turned into 1964”, Washington Post — https://www.washingtonpost.com/outlook/2020/06/11/protests-started-out-looking-like-1968-they-turned-into-1964/

[11] Shuman, E. et al.(2023), “When Are Social Protests Effective? Evidence From a Meta-Analysis”, Trends in Cognitive Sciences — https://www.hbs.edu/ris/Publication%20Files/When%20are%20social%20protests%20effective_67978754-eaf9-4414-aae1-16db9ef13812.pdf

[12] Simpson, B. et al.(2022), “Radical Flanks and Support for Moderates: Evidence From Social Movements”, PNAS Nexushttps://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9896934/

[13] Kenward, B. & Brick, C.(2024), “Large-scale disruptive activism and climate concern”, Global Environmental Psychology — https://gep.psychopen.eu/index.php/gep/article/view/11079/11079.html

[14] 日本国憲法(現行条文, 第96条), 法務省日本法令外国語訳データベース — https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/174

[15] 早稲田大学法学部紀要(2008), 「憲法制定権力論の系譜と現代的意義」 — https://www.waseda.jp/folaw/icl/assets/uploads/2014/05/A04408055-00-021010063.pdf

[16] 龍谷法学(2012), 「制度化された憲法制定権力と憲法改正権」 — https://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/bdyview.do?bodyid=BD00000826&elmid=Body&fname=r-ky_033_02_005.pdf

[17] Samuel, D.(1996), “Investigation of Ancient Egyptian Brewing Methods”, Cambridge Archaeological Journal — https://doi.org/10.1017/S095977430000135X

[18] Unger, R.(2004), “Beer in the Middle Ages and the Renaissance”, University of Pennsylvania Press

[19] Dietler, M.(2006), “Alcohol: Anthropological/Archaeological Perspectives”, Annual Review of Anthropology — https://doi.org/10.1146/annurev.anthro.35.081705.123120

[20] GBD 2016 Alcohol Collaborators(2018), “Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016”, The Lancet — https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31310-2

[21] 厚生労働省(2022), 「新規学卒就職者の離職状況」 — https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32825.html

[22] OECD(2021), “Employment Outlook”, OECD Publishing — https://www.oecd.org/employment-outlook/

[23] Credé, M. et al.(2017), “Much Ado About Grit: A Meta-Analytic Synthesis of the Grit Literature”, Journal of Personality and Social Psychology — https://doi.org/10.1037/pspp0000102

[24] OECD(2020), “Job Mobility and Labour Market Adjustment” — https://www.oecd.org/employment/job-mobility-and-labour-market-adjustment.htm

[25] Sacerdote, B.(2011), “Peer Effects in Education: How Might They Work, How Big Are They and How Much Do We Know Thus Far?”, Handbook of the Economics of Education — https://doi.org/10.1016/B978-0-444-53444-6.00004-1

[26] OECD(2019), “PISA 2018 Results: What School Life Means for Students’ Lives”, OECD Publishing — https://doi.org/10.1787/acd78851-en

[27] Brunello, G. & Checchi, D.(2007), “Does School Tracking Affect Equality of Opportunity? New International Evidence”, Economic Policy — https://doi.org/10.1111/j.1468-0327.2007.00183.x

[28] Heckman, J. & Kautz, T.(2013), “Fostering and Measuring Skills: Interventions That Improve Character and Cognition”, NBER Working Paper — https://doi.org/10.3386/w19656