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自治体はどこで滅びるのか?成田悠輔×菅義偉が示す地方創生のかぎ

目次

滅びる自治体の条件と「地方創生」の前提

  • 自治体の持続可能性は、人口の多寡よりも「稼ぐ仕組み」と生活基盤の維持力で決まる。
  • ✅ 住民サービスの維持が難しくなる局面では、行政区分の再設計も現実的な論点になる。
  • ✅ 地方創生は「補助金で埋める」発想だけでは続かず、地域の自走条件を作る必要がある。

成田悠輔氏と菅義偉氏の対談では、「滅びる自治体」とは何かが最初の焦点になります。人口減少が進む地域は増えていますが、議論は単なる人数の問題に留まりません。税収を生む産業の薄さ、生活インフラの維持コスト、行政サービスの提供単位など、複数の条件が重なったときに自治体は急速に苦しくなります。地方創生は、この“苦しくなる構造”をどう扱うかから始まります。

地方が厳しいと言うと、人口が減るから仕方ない、みたいな話になりやすいです。けれども、人口の数だけで未来が決まるなら、対策はほとんど残りません。実際には、外からお金を稼げるか、地域の中で回るお金を増やせるか、生活の基本サービスをどこまで維持できるかで状況は変わります。危機の正体を、人数の話に閉じ込めないほうがいいと思います。

― 成田

「消滅」は行政の問題でもある

自治体が続くかどうかは、気合いや愛着だけでは決まりません。医療や教育、交通などの基礎サービスは、一定の規模がないと成り立ちにくいです。規模が足りないなら、提供の仕方を変えるしかありません。広域でまとめるのか、民間や周辺自治体と共同で回すのか、いずれにしても「今の区割りのまま維持する」前提を一度外して考える必要があります。

― 菅

地方創生は「延命」ではなく「条件づくり」

対談が示すポイントは、地方創生を“延命”として扱うと、政策は短期の穴埋めに寄ってしまう点です。地域が自走する条件を作るなら、産業・人材・移動の仕組みを同時に整える必要があります。次のテーマでは、その条件づくりに直結しやすい「大規模施策」の設計と副作用が論点になります。



1兆円規模の巨大施策が生む期待とズレ

  • ✅ 巨大な予算は「やれること」を増やす一方、使い切り前提の設計になると目的がぼやけやすい。
  • ✅ 成果が見えにくい分野ほど、配分ルールと評価軸の設計が信頼を左右する。
  • ✅ 重要なのは金額の大きさより、地域の稼ぐ力と生活基盤にどう接続するか。

後編にあたる回では、菅氏の政策判断が生み出した「1兆円規模」とされる巨大な枠組みが話題になります。大きな財源は、自治体にとって挑戦の原資になり得ます。しかし同時に、制度が「配ること」自体を目的化すると、使途が細切れになり、現場の実装が弱くなる危険もあります。対談は、巨大施策をどう地方の現実に接続するかを掘り下げます。

大きい予算があると、何かが一気に変わりそうに見えます。けれども、地域の側に「これで稼ぐ」「これで人を呼ぶ」という筋がないと、お金は点で散って終わります。短期で見栄えのする事業ばかりが増えると、終わった瞬間に元に戻ります。大事なのは、財源が“毎年必要になる穴埋め”に化けないように、仕組みとして残すことです。

― 成田

配分の公平感と、現場の自由度

国の施策は、どうしても全国一律のルールになりがちです。一方で、地域の課題は本当に違います。だから、一定の基準でチェックしつつ、使い方は現場が決められる余地が必要です。説明責任を果たしながら、自由度を確保する。その両立ができないと、巨大な枠組みほど反発が出ます。

― 菅

“大きさ”よりも「接続設計」が問われる

巨大施策は、正しく使えば地域の転換点になります。しかし、地域の稼ぐ力・人材循環・生活サービスに接続しない限り、効果は断続的になります。次のテーマでは、その接続を左右する「官民の役割分担」と「データ・評価」の設計が議論の中心になります。



地方創生を動かす「官民の役割分担」とデータ

  • ✅ 行政が得意な領域と民間が得意な領域を分け、無理な期待を置かないことが実装の近道。
  • ✅ 成果を測る指標が曖昧だと、成功も失敗も学習できず、施策が積み上がらない。
  • ✅ データは監視の道具ではなく、地域が意思決定するための共通言語になる。

地方創生が“続かない”理由の一つに、役割の混線があります。行政が事業そのものを抱え込みすぎると、実装が遅れます。一方で、民間任せにしすぎると、公共性が揺らぎます。対談では、官民の得意領域を分けたうえで、成果を測る仕組みを作る重要性が語られます。

行政に万能を期待すると、どうしても設計が重くなります。逆に、民間に丸投げすると、採算が合わない領域は手薄になります。だから、役割を割り切ったほうがいいです。行政はルールと基盤を整え、民間はスピードと工夫で回す。中間にある“調整”の部分を誰が担うかまで決めると、現場が動きやすくなります。

― 成田

評価軸がないと「学習」できない

うまくいった政策は続けたいですし、うまくいかなかった政策は直したいです。そのためには、最初から評価の軸を置く必要があります。数字で測れる部分と、数字にしにくい部分を分けて、説明できる形にする。地方創生は感情論になりやすいので、共通の物差しがあると議論が前に進みます。

― 菅

データは「縛る」より「選べる」状態を作る

対談の含意は、データを“管理”のために使うと反発が起きやすい一方、地域が選択肢を持つための共通言語として使えば合意形成が進む、という点です。次のテーマでは、その合意を実際の施策に落とし込む「実装論」が焦点になります。



地方が生き残るための実装論

  • ✅ 地方創生はスローガンでは進まず、移動・医療・教育・観光など生活単位の設計に落とし込む必要がある。
  • ✅ 「住む」だけでなく「関わる」人口を増やす発想が、現実的な選択肢になる。
  • ✅ 成功の鍵は、地域の強みを一つに絞り、継続できる運営体制を作ること。

議論を現場に下ろす段階では、理念よりも運用が問われます。どの地域もフルセットでサービスを抱えるのではなく、何を守り、何を共同化するのかを決める必要があります。また、人口減少が進む局面では、「移住者を増やす」一本槍だけでなく、関係人口や二拠点のような関わり方を広げる発想も重要になります。

地方創生は、結局は生活の設計だと思います。移動の足がない、医療が遠い、教育の選択肢が少ない。こういう具体が積み重なると、人は出ていきます。だから、派手な事業よりも、生活の不便をどう減らすかが効きます。全部を完璧にするのではなく、守る部分と、広域でまとめる部分を分けて、持続できる形に寄せるのが現実的です。

― 成田

「住民」だけに頼らない人口戦略

移住は簡単ではありません。だから、住む人を増やすだけでなく、通う人、応援する人、何度も来る人を増やす考え方も必要です。地域にお金が落ち、仕事が生まれ、次の世代が残れる。その循環を作るには、行政だけでなく、地元企業や外の企業とも組むことが大切です。

― 菅

実装の最後は「運営体制」で決まる

対談が繰り返し示すのは、成功事例の共通点が“企画”より“運営”にある点です。地域の強みを絞り、やることを減らし、継続できる体制を作る。巨大施策も、最終的にはこの運営の器に乗った分だけ成果になります。ここまでの議論を踏まえると、地方創生の鍵は「条件づくり」と「実装の継続」に集約されます。


出典

本記事は、YouTube番組「【成田悠輔vs菅義偉】滅びる自治体とは?地方創生のかぎ【mudai】」(ReHacQ−リハック−【公式】/2023年9月)および、YouTube番組「【成田悠輔vs菅前総理】1兆円!菅義偉が作った巨大○○【まさか膨脹】」(ReHacQ−リハック−【公式】/2023年8月)の内容をもとに要約しています。

人口減少で自治体は本当に「消滅」するのか。本稿では、将来人口推計や地方税財政の研究、交付金の効果検証、移住・関係人口の調査報告をたどりながら、「滅びる自治体」の条件と地方創生政策の前提を整理します。

読後のひと考察──事実と背景から見えてくるもの

元記事の対談では、「人口が減るから地方は滅びる」という単純な図式に対する違和感が共有されていました。本稿では、その感覚がどこまでデータで裏づけられるのかを確認しつつ、「どのような自治体が苦しくなりやすいのか」「地方創生の交付金やKPIはどこまで機能しているのか」という問いを、第三者の統計や研究に基づいて検討します。

問題設定/問いの明確化

日本全体の人口は、将来推計でも大きな減少が見込まれています。厚生労働省が紹介する国立社会保障・人口問題研究所の推計では、総人口は2070年に8,700万人、65歳以上人口比率は約39%に達するとされています[1]。

一方で、「どの自治体がどのくらい厳しいのか」を示す指標として、有識者会議による「地方自治体『持続可能性』分析レポート」が公表され、若年女性人口(20〜39歳)が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少すると推計される自治体を「消滅可能性自治体」と定義しています。この基準でみると、全国で744の自治体が該当するとされています[3]。

ただし、この区分はあくまで人口構成の将来予測に基づく指標であり、自治体の財政やインフラ維持能力まですべて一度に示すものではありません。地方税収や交付税を分析した研究では、税収は大都市圏への偏在が続き、地方は国からの交付税や譲与税に強く依存していることが示されています[2]。

ここから先は、こうした統計やレポートを前提に、「滅びる/持続する自治体」を人口だけでなく、財政やサービス提供の条件から考えようとする筆者の整理です。人口減少そのものは全国で進む一方で、「どこまで行政サービスを維持できるか」「どこまで自前で稼げるか」が地域によって大きく異なる点に注意が必要だと考えられます。

定義と前提の整理

まず、「自治体が持続可能である」とは何を意味するのかを整理しておきます。財政面では、地域内の税収と、国からの交付税などの移転財源により、医療・福祉・教育・インフラといった基礎的サービスを長期にわたって提供できることが一つの条件になります。地方税収の将来像を分析した研究では、大都市圏への人口集中に伴い法人課税などの税収が都市部に集中し、地方側は「住民が直接負担しない財源」に頼りがちになることが指摘されています[2]。

人口面では、先の「消滅可能性自治体」の指標が象徴的です。20〜39歳の女性人口が30年間で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」、20%未満の減少にとどまる自治体を「自立持続可能性自治体」とし、その中間として「ブラックホール自治体」などの区分も提示されています[3,4]。

もっとも、こうした分類に対しては、「人口が減ること自体よりも、減少速度や財政余力、周辺地域との関係のほうが重要だ」という解釈も紹介されています。自治体向け専門メディアでは、「消滅可能性」の言葉が一人歩きし、他地域との人口獲得競争をあおってしまう懸念も指摘されています[4]。

さらに近年は、「住んでいる人」だけでなく、二拠点居住やワーケーション、ボランティアなどで継続的に地域とかかわる人々を「関係人口」として位置づける議論が広がっています。内閣官房のページでは、関係人口を「特定の地域に継続的に多様な形でかかわる人」と定義し、観光以上・移住未満の関わり方として整理しています[5]。

国土交通省が実施したアンケート調査では、「関係人口」に該当する人が全国で1,800万人を超えるという推計も示されました[6]。

ここからは、これらの定義を踏まえた筆者の解釈です。人口が減っても、財政やサービス提供の単位を見直し、広域連携や民間との協働を組み合わせることで、生活の基盤を維持している地域もあります。一方で、若年人口が急激に減る自治体では、学校や医療機関、交通インフラを単独で維持することが難しくなり、行政区分の再編や機能の集約といった議論が避けて通れなくなりつつあります。人口指標はあくまで「警報」であり、そこから先に、財政・サービス・地域経済の条件を見直す必要があると考えられます。

エビデンスの検証

人口減だけでは決まらない持続可能性

地方税制に関する分析では、地方法人課税の縮小と地方交付税の拡充が進んだ結果、「税を負担する地域」と「行政サービスを受ける地域」が必ずしも一致しない構造が強まっていることが示されています[2]。

この研究では、大都市圏への人口集中により地方税収も集中する一方で、地方側は交付税などの「見えにくい財源」に依存する度合いが高まっているとされています[2]。単に人口が多いか少ないかではなく、「どこから税収を得ているか」「どの範囲までサービス提供責任を負っているか」が、自治体の財政的な持続可能性を左右していると読み取ることができます。

ここから先は、これらの財政分析を踏まえた筆者の整理です。人口が減っていても、比較的豊かな工業地帯や観光地を抱える自治体は、税収と外貨獲得によって一定のサービス水準を維持しやすい一方、人口も税収も同時に減る自治体では、道路・上下水道・公共施設といったインフラ維持費が重くのしかかり、財政の硬直化が急速に進みやすいと考えられます。

交付金は地域の「稼ぐ力」にどう効いているか

地方創生関係交付金と、30年前の「ふるさと創生」交付金を比較した研究では、両者の配分方法や事業内容の違いが検証されています。この研究によれば、両交付金は配分ルールが異なるにもかかわらず、住民1人あたりの交付金額の偏在度(ジニ係数)はほぼ同程度であったとされています[7]。

また、地方創生関係交付金については、「財政力指数」や周辺自治体の獲得件数が、交付金獲得の有無に統計的に有意な影響を持つことがロジスティック回帰分析で示されています[7]。テキストマイニングによる事業名の分析では、かつての「ふるさと創生」がハード整備中心であったのに対し、地方創生関係交付金ではソフト事業へのシフトが見られる一方、国主導のふるさと創生の方が、むしろ地域性を強く反映しているという結果も報告されています[7]。

ここからは、この交付金研究に基づく筆者の解釈です。形式上は「地方の自由度」が高い制度であっても、実際には人員やノウハウのある自治体ほど申請や事業設計がしやすく、結果として交付金を多く獲得しやすい構図があると考えられます。人口が少なく職員数も限られる自治体ほど、「何か面白いことをやりたい」という意欲はあっても、調査分析や計画づくりに割けるリソースが乏しく、挑戦のスタートラインに立つこと自体が難しいというギャップが生じやすいと言えます。

KPIと効果検証から見えること

地方創生推進交付金については、政府が有識者会議を設置し、事業ごとのKPI設定状況や効果検証の実態を整理しています。2021年の資料では、平成30年度に実施された3,399事業を対象に、地方公共団体における効果検証やKPI達成状況が分析されています[8]。

同資料によると、1事業あたりのKPI数は「3つ程度」が平均であり、少なくとも1つのKPI目標を達成した事業は全体の80%、設定されたKPIのうち目標値に達した割合は全体で52%と報告されています[8]。また、外部や議会による効果検証を行っている事業の方が、KPIを達成した事業の割合が高いことも示されています[8]。

さらに、この分析では、「経営視点からの検証」「適切なKPI設定」「事業改善方針の明確化・反映」といったプロセスを多く実施している事業ほど、KPI達成割合が高い傾向があることが指摘されています[8]。一方で、KPIについては「現実的な目標設定が行われ、実績が目標を上回ったケースがある一方で、意欲的な水準を設定した結果、実績がついていかなかったケースもあり得る」との注記が付されており、数値だけで成功・失敗を判断することへの注意喚起もなされています[8]。

令和4年度の詳細な効果検証報告書では、こうした傾向を踏まえつつ、事業収入による自立化の見込みや、観光・移住・若者雇用など各分野ごとの効果認識が整理されています[9]。

ここからは、これらの効果検証資料に基づいた筆者の解釈です。8割の事業で「少なくとも1つのKPIは達成」、KPI全体でも半数強が目標値に到達しているという数字だけを見ると、一見すると地方創生施策は「それなりにうまくいっている」とも読めます。しかし、ほぼ全ての事業で自治体側は「何らかの効果があった」と認識している一方で[8,9]、人口減少や税収構造のようなマクロ指標は依然として厳しいままです。このギャップは、KPIが短期的・局所的なアウトカムに偏りがちで、長期的な人口構造や生活基盤の変化を十分に捉えきれていない可能性を示唆していると考えられます。

行政評価は予算や運営にどこまで結びついているか

行政評価と財政運営の関係を整理した研究では、多くの自治体が行政評価制度を導入している一方で、評価結果が予算要求や査定にどの程度反映されているかについては温度差があることが指摘されています。総務省の調査結果を整理した分析では、評価結果を「予算編成の参考として利用している」と回答する自治体は多数にのぼるものの、「不可欠な情報」として位置づけている自治体は限定的であると報告されています[10]。

同研究は、行政評価が説明責任や透明性の向上には一定の役割を果たす一方で、個々の事業の廃止・縮小や組織改編といった厳しい判断にまで直結している事例は多くないと整理しています[10]。評価が「やって終わり」の事務作業になってしまうリスクも指摘されており、評価結果の予算への連動や、職員の「評価疲れ」といった問題も論点になっています。

評価の概念そのものに関する論考では、日本の自治体がPDCAサイクルや「客観性」に強くこだわる一方で、住民や現場職員の能力形成やエンパワーメントといった視点が弱いという指摘もあります[10]。ここから先は、こうした研究を踏まえた筆者の整理ですが、地方創生の交付金でも同様に、「KPIの数値」や「計画どおり実施したか」という形式的な要件が重視されるあまり、現場の学びや試行錯誤が十分に蓄積されにくい面があると考えられます。

移住施策と「ゼロサム競争」の懸念

地方移住促進施策に焦点を当てた近年の調査研究では、全国1,741市区町村のうち429自治体から回答を得て、移住促進に取り組む自治体が8割を超えることが報告されています[11]。移住施策の効果については、「効果が大きい」「どちらかといえば大きい」とする自治体が約55%、「どちらかといえば小さい」「小さい」とする自治体が約44%と、おおむね二分している実態も示されています[11]。

同報告書では、地方創生以降に移住施策が拡大した背景として、地方創生関係交付金などの制度的特徴が標準的なメニューを全国に広げたこと、他自治体との「移住者獲得競争」を強く意識する担当者が多いことなどが指摘されています[11]。

ここからはこの調査に基づく筆者の解釈ですが、移住者の取り合いが続けば、全国トータルでは人口減少が止まらない中で「ゼロサム競争」になってしまう危険性があります。報告書では、移住促進と並行して、地域内での暮らしの質や仕事の機会を高めること、関係人口とのバランスをどう取るかといった問いも提示されており[11]、移住だけをKPIとすることの限界がにじんでいるように読み取れます。

反証・限界・異説

ここまでのエビデンスには、いくつかの限界や異なる見方も存在します。まず、「消滅可能性自治体」という概念そのものについて、指標が若年女性人口に集中しすぎているのではないかという批判があります。実際、最新の分析では「消滅可能性自治体」が744に減少する一方、「ブラックホール自治体」のように人口流入に依存している都市部も問題として浮かび上がっています[3,4]。

また、地方創生関係交付金の研究結果についても、「偏在度は昔とあまり変わらない」とはいえ、現在の交付金にはデジタル実装や脱炭素など、当時とは異なる政策課題が組み込まれているため、単純な比較は難しいという見方もあり得ます。テキストマイニングや回帰分析は全体傾向を示す一方で、個々の自治体の文脈や小さな成功事例を捉えきれないという限界もあります[7]。

KPIや行政評価についても、「数値化できるものだけが重視され、長期的な変化や住民の体験がこぼれ落ちる」という懸念が専門家から示されています[8,10]。特に、人口減少や子どもの貧困、地域コミュニティの維持といった課題は、短い期間では数値に表れにくく、評価期間と実際の変化のタイムスパンが合わない場合があります。

その一方で、「評価やKPIがなければ、政策が感覚や思いつきに流れてしまう」という現場の声もあります。先述のように、多くの自治体が行政評価を予算編成の参考にしていることも事実であり[10]、「評価は役に立たない」と言い切るよりも、「どう使うか」「何を測るか」を問い直す必要があると考えられています。

実務・政策・生活への含意

ここからは、紹介してきたエビデンスをもとにした筆者の実務的な整理です。まず、「滅びる自治体」の条件を人口だけで定義してしまうと、対策は若年層の「奪い合い」や出生率の向上策に偏りがちになります。財政とインフラの持続性を考えるなら、医療・教育・交通など、生活の根幹となるサービスをどの範囲で維持するか、どこを近隣自治体や民間と共同化するかといった「サービス提供単位」の設計が避けて通れません。

交付金の使い方については、短期的に目に見える事業を増やすのではなく、「地域の稼ぐ力」や「生活基盤の維持」にどう接続させるかが問われます。交付金の獲得には一定の事務能力が必要であることを踏まえると、自前で設計から運営までを抱え込まず、外部の専門家や近隣自治体との連携を前提とした体制づくりも重要になります[2,7,11]。

KPIと評価の運用では、「数字を出すこと」それ自体を目的にしない工夫が求められます。例えば、KPIを「短期のアウトプット」と「中期のアウトカム」「長期のインパクト」に分け、短期KPIが達成されても中長期の指標に変化がない場合には、事業の設計そのものを見直す仕組みを組み込むことが考えられます。その際、「未達=失敗」とみなすのではなく、未達の理由を分析して次の計画に反映させるプロセスに予算と時間を割くことが重要です[8,9,10]。

人口戦略の観点では、「移住者を増やす」ことだけに頼らず、関係人口を含めた多層的な人口戦略を考える必要があります。国の調査で示された約1,800万人の関係人口は[6]、地域にとって潜在的な支援者・利用者でもありますが、常住人口と同じように税を負担し、日々の自治活動に参加するわけではありません[5,6,11]。

したがって、「住む人」「頻繁に通う人」「オンラインで関わる人」など、関わり方ごとに期待できる役割と限界を整理し、それぞれに合ったサービスや参加の場を設計することが、自治体の現実的な戦略となり得ます。これもまた、KPIや交付金のメニュー設計と連動して考えるべき論点と言えます。

まとめ:何が事実として残るか

最後に、データと研究から比較的はっきり言えそうな点を整理します。第一に、日本全体の人口減少と高齢化はかなりの確度で進行し、若年人口が急速に減る自治体が多数存在することは、将来人口推計と「持続可能性」分析レポートから確認できます[1,3]。

第二に、地方自治体の財政は、大都市圏への税収集中と国からの交付税への依存という構造を抱えており、人口減少と財政制約が同時に進む自治体では、基礎的サービスの維持が難しくなるリスクが高いと考えられます[2]。

第三に、地方創生関係交付金や移住施策は、挑戦のための重要な資源である一方で、交付金の獲得や評価・KPIの運用には自治体間の能力差が反映されやすく、短期的な成果指標だけでは長期的な人口・生活の変化を測りきれないという課題が残ります[7,8,9,11]。

そして第四に、行政評価やKPIの仕組みは、説明責任や透明性の確保には役立ちつつも、予算配分や事業廃止といった難しい意思決定に十分に結びついていない面があることが、複数の研究から示されています[8,10]。

こうした事実を踏まえると、「滅びる自治体」を避けるためには、人口減少を前提としつつ、財政とサービスの単位の見直し、交付金とKPIの使い方の再設計、関係人口も含めた多層的な人口戦略を組み合わせることが重要になります。その具体的な組み合わせ方は地域ごとに異なり、今後もデータと現場の経験を行き来しながら検討を続けることが求められると考えられます。

本記事の事実主張は、本文の[番号]と文末の「出典一覧」を対応させて検証可能としています。

出典一覧

  1. 厚生労働省 保険局調査課(2023)『保険局調査課説明資料(我が国の人口の状況等)』 厚生労働省 公式ページ
  2. 蜂屋勝弘(2020)『地方税収の将来像と地方税源の在り方-一極集中時代の国税地方税改革の方向性の提言』 JRIレビュー Vol.4, No.76 公式ページ
  3. 杉本崇(2024)『消滅可能性自治体とは 全国1729自治体の都道府県別一覧表』 朝日新聞社 ビジネスサイト 公式ページ
  4. ジチタイワークス編集部(2025)『消滅可能性自治体とは?定義と現状を確認し、人口減少時代に取り得る対策を考える』 ジチタイワークスWEB 公式ページ
  5. 内閣官房 地域未来戦略本部事務局(2025)『関係人口の創出・拡大』 内閣官房 地方創生 公式ページ
  6. 国土交通省(2020)『全国の「関係人口」は1,800万人超!~「地域との関わりについてのアンケート」調査結果の公表~』 国土交通省 公式ページ
  7. 萩行さとみ・大澤義明(2021)『平成の30年で交付金はどのように進化したのか―地方創生関係交付金とふるさと創生交付金との比較―』 都市計画論文集 56(1), 1-13 公式ページ
  8. 内閣府 地方創生推進事務局(2021)『地方創生推進交付金事業の効果検証に関する調査報告書の概要及びKPIの設定について(資料2-1)』 経済財政諮問会議 歳出改革部会 公式ページ
  9. 地方創生推進交付金事業の効果検証に関する調査検討委員会/内閣府 地方創生推進事務局(2022)『地方創生推進交付金事業の効果検証に関する調査報告書(令和4年度)』 内閣府 公式ページ
  10. 御船洋(2016)『地方自治体の行政評価と財政運営』 中央大学 経済学論纂 58巻1号 公式ページ
  11. 伊藤将人(2025)『地方移住促進施策と地方創生の調査研究に関する報告書』 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM) 公式ページ