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10代でも物忘れが増えるのはなぜですか?樺沢紫苑氏が語る2大原因と対策

目次

10代でも認知症症状に見える理由:注意・集中の低下が記憶を崩す

  • ✅ 「記憶力が落ちた」と感じる背景には、注意力・集中力の低下が隠れている場合がある。
  • ✅ 注意が向かない状態が続くと、短期記憶(ワーキングメモリー)が落ち、物忘れが増えやすくなる。
  • ✅ まずは「聞いているつもりでも情報が入っていない」状態になっていないかを点検する。

精神科医の樺沢紫苑氏は、認知症そのものではなくても、10代を含む若い世代で「認知症のように見える物忘れ」が起こり得ると整理しています。背景として、10代の若者の一定割合で記憶障害の症状が認められるという調査の話題にも触れつつ、入口として重要なのは「記憶」より先に「注意・集中」が落ちる点だと述べています。つまり、注意が向かないまま情報に触れていると、覚えられないのは当然になってしまう、という見立てです。

私は「最近、物忘れが増えた」と感じる相談を受けるとき、いきなり年齢や病名の話から入らないようにしています。日常の中で、人の名前や顔が出てこない、約束をうっかり忘れるといった体験は、誰にでも起こり得るからです。

そのうえで私は、短期記憶、いわゆるワーキングメモリーが疲れていないかを丁寧に見直したいと思っています。覚えようとしても入らない状態が続くと、本人の自信も削られやすいので、まずは状況を言語化して整理していく姿勢が大切だと考えています。

記憶力低下の入り口は「聞いているようで聞いていない」

樺沢氏は、脳が疲労した状態では「注意力・集中力がだだ下がり」し、その結果としてワーキングメモリーも落ちていくと説明しています。すると、会話や授業を聞いているつもりでも、情報が右から左へ抜けていき、周囲の内容を留めにくくなります。この段階では、本人の努力不足というより「入力が成立していない」状態として捉えるほうが実態に近い、という整理になります。

私は、集中できないときに「覚えられない」と悩むより先に、「そもそも入っていなかったのではないか」を疑うようにしています。聞いている姿勢でも、頭の中で別のことが回っていると、情報は残りません。

だから私は、話を聞く場面や勉強の場面で、目線や姿勢、周囲の刺激、途中で別のことを始めていないかを小さく点検します。入力が整うだけで、記憶の手応えが戻ることもあるので、焦らずに手前の工程から見直したいです。

脳の「使える容量」が減ると、物忘れが増えていく

樺沢氏は、注意が保てない状態が続くと「脳が使えるキャパシティが減ってくる」と表現しています。キャパシティが落ちると、必要な情報を一時的に保持して処理する余力が不足し、結果として「うっかり忘れ」が増えやすくなります。ここで重要なのは、記憶力の問題に見えても、実際には注意・集中の基盤が弱っている可能性がある点です。

私は、物忘れが目立つときほど、「覚える技術」を足すより「脳の空きを増やす」方向を意識したいです。頭がパンパンの状態では、どれだけ頑張っても残りません。

もし短期記憶の落ち込みが続くなら、生活リズムや日中の疲労のたまり方を含めて見直し、必要なら専門家に相談する選択肢も持っておくと安心です。私は、原因が整理できるだけでも不安が軽くなることが多いと感じています。

認知症っぽさ」を感じたときの最初の整理

このテーマで押さえるべき点は、「記憶の不調」をいきなり固定化して考えないことです。樺沢氏の説明では、注意・集中の低下が先に起こり、ワーキングメモリーが落ちた結果として物忘れが増える、という順序で整理されています。次のテーマでは、この注意・集中を崩しやすい代表的な要因として挙げられる生活習慣について、具体的に掘り下げます。


原因① スマホの使いすぎ:前頭前野の働きが落ち、注意・集中から崩れていく

  • スマホの長時間利用が「注意・集中の低下」を招き、結果として記憶力にも影響する。
  • ✅ 問題は「勉強時間が減る」だけではなく、脳が疲労して入力の質が落ちる点。
  • ✅ 症状が出ている場合は、まず利用時間を抑え、状態が長期固定化しないようにする。

樺沢氏は、若い世代でも「認知症のように見える症状」が出る背景として、スマホの使いすぎを最重要の要因として挙げています。スマホを長く使うことで前頭前野の機能が落ち、注意・集中力が下がり、そこから記憶力の低下につながる流れがあるという説明です。また、その状態が何カ月、何年と続くと「低い状態で固定して戻りにくくなる可能性」にも言及しています。

私は、スマホを長く触っているのに「内容が頭に入らない」と感じるとき、根性で乗り切ろうとはしません。入力そのものが弱っているなら、頑張るほど空回りしやすいからです。

私はまず、スマホを触る時間が増えていないか、触る目的がはっきりしているかを見直します。目的が曖昧なまま触っている時間が長いほど、集中の芯が細くなる感覚が出やすいと思っています。

勉強時間が減るだけではなく、脳が疲れて「回らなくなる」

樺沢氏は、スマホの影響を「時間を奪うから成績が落ちる」という話だけで片付けず、スマホ利用そのものが脳を疲労させ、記憶力や集中力を下げる点を強調しています。具体的には「1日1時間以上で成績が下がる」「3時間以上で大きく下がる」といった言及もあり、短時間でも影響が出うるという見方が示されています。

私は、スマホを見たあとにぼんやりする感覚があるなら、勉強時間の問題よりも「脳が疲れている」サインとして扱いたいです。脳が回らないまま机に向かっても、結局は覚えられないからです。

私は「まず休む」「まず減らす」という順番を意識します。入力の土台が整っていないと、暗記法や勉強法を足しても、手応えが戻りにくいと思うからです。

「低い状態で固定する」という懸念と、最初の目標ライン

樺沢氏は、注意・集中の低下から記憶力が落ちる状態が長く続くと、認知機能が低いまま固定化し、戻りにくくなる可能性があると述べています。そのうえで、すでに症状が出ているなら「まず1日2時間以下に減らす」といった具体的な方向性を示しています。

私は、いきなりゼロにするより「まず2時間以下」を目標にして、現実的に続けるほうが良いと思っています。急に厳しくすると反動が出やすいからです。

私は、減らした時間に何を入れるかも同時に考えます。空いた時間がそのまま退屈になると、結局はスマホに戻りやすいので、休息や運動など別の回復手段を用意しておきたいです。

年齢別の目安と、「成長期ほど影響が大きい」という整理

樺沢氏は一般的な目安として、スマホの「健康的な利用時間」を小中学生は1時間以下、高校生は2時間以下、大人は4時間以下と述べています。特に子どもは脳の構造が発達途中にあり、その段階で強い刺激を多く入れることが成長を妨げ得る、という整理も示されています。

このテーマの要点は、物忘れや集中力低下を「気合の問題」にしないことです。樺沢氏は、スマホ過多が前頭前野の働きに影響し、注意・集中の低下を通じて記憶にも波及すると説明しています。次のテーマでは、同じく認知機能の土台として重要だとされる運動と睡眠の話に進みます。


原因② 運動不足と睡眠不足:脳の回復が追いつかず、認知機能が落ちやすくなる

  • ✅ 認知機能を立て直す方法として「運動」と「睡眠」を中核に置く。
  • ✅ 運動は認知機能の改善や将来リスクの低下につながる。
  • ✅ 睡眠が短い状態が続くと、脳内の老廃物が溜まりやすくなる。

樺沢氏は、注意力や集中力が落ちて「物忘れが増えた」と感じるとき、スマホの影響に加えて、運動不足と睡眠不足が重なっていないかを確認する必要があると述べています。特に認知症の文脈では運動不足の影響が大きいとし、さらに睡眠が不足すると脳の回復が進みにくいという見立てを示しています。生活習慣を整えることが、記憶の土台を戻す最短ルートになり得る、という位置づけです。

私は、記憶力の不調を感じたときほど、生活の基本に戻ることを大事にしたいです。運動と睡眠は地味に見えますが、続けるほど効いてくる種類の対策だと思っています。

私は、何かを増やすより先に、回復できる土台を作ることを意識します。頭が常に疲れている状態では、集中も記憶も積み上がりにくいからです。

運動は「認知機能を改善させる方法」として位置づけられている

樺沢氏は、認知症のごく初期や、いわゆる一歩手前の段階でも、運動によって認知機能が改善し得ると説明しています。また、若い世代であれば、定期的な運動によって将来の発症リスクを大きく下げられる可能性があるという見方も示されています。ここでのポイントは、運動が気分転換にとどまらず、認知機能そのものに働きかける“介入”として語られている点です。

私は、勉強や仕事の効率を上げたいときほど、運動を「時間のロス」とは考えないようにしています。体を動かしたあとのほうが、頭がはっきりして作業が進む感覚があるからです。

私は、完璧なメニューより「続けられる形」を優先します。小さく始めて、続けるうちに少しずつ増やしていくほうが、結果的に習慣になります。

目安は「週120分以上の汗をかく運動」と、脳を育てる物質の話

樺沢氏は、運動によって脳が活性化していく要因として、BDNFなどの脳に関わる物質に触れています。そのうえで、目安として「週120分以上」、つまり週に2時間以上は汗をかく運動を入れる提案をしています。日々の集中力や記憶力を支えるには、脳の機能が回復していく環境づくりが必要だという流れです。

私は、「週に2時間」と聞くと重く感じる人もいると思うので、まずは10分や15分を積み重ねる発想が良いと思っています。短い時間でも、継続できれば結果につながりやすいからです。

私は、気持ちよく汗をかける運動を選びたいです。義務感が強いと続かないので、散歩や軽いランニングなど、生活に自然に入る形から始めます。

睡眠が短いと「脳の掃除」が進みにくいという整理

樺沢氏は、睡眠が6時間未満の状態が続くと、脳内で老廃物が溜まりやすくなるという説明をしています。睡眠中に脳内の老廃物が流れやすくなるというイメージを提示したうえで、必要な睡眠として7〜8時間を勧めています。ここでは「気合で削る」より「回復の時間を確保する」ことが、長期的な認知機能の維持に直結する、という考え方が軸になります。

テーマ3の要点は、認知機能の不調を感じたとき、脳に負荷をかけ続けるのではなく、回復する仕組みを生活の中に作り直すことです。樺沢氏は運動と睡眠を、集中力と記憶力を支える基盤として位置づけています。次のテーマでは、スマホとの付き合い方を現実的に変えるためのセルフチェックと行動ルールに進みます。


スマホ依存のセルフチェック:やめたいのにやめられない状態をほどく

  • スマホ依存の判断軸は「やめたいのにやめられない」「自分でコントロールできない」。
  • ✅ 生活や学業・仕事に支障が出ているか、電車など“触らない場面”を作れるかがチェックポイント。
  • ✅ 対策は「歩きスマホをやめる」「風呂に持ち込まない」などの行動ルール化と、アウトプット型の使い方への転換が必要。

樺沢氏は、スマホを減らしたいのに減らせない悩みに対して、「依存症はやめたいのにやめられない状態」だと整理しています。また、単純な使用時間だけで決めつけるのではなく、やめ時で止められるか、生活機能に支障が出ていないかといった“コントロールの可否”を重視しています。

私は、「何時間使ったか」よりも、「やめたいと思った瞬間に止められるか」を大切にしたいです。自分でコントロールできているなら、必要な場面で上手に使えている可能性が高いからです。

私は、やめたいのに止まらないときは、気合で勝とうとしません。止められない状態そのものを、生活の仕組みで整え直すほうが現実的だと思っています。

依存の見分け方は「区切り」と「生活への支障」

樺沢氏は、依存症の特徴として「もっともっと」という欲求が強まりやすい点にも触れています。寝る時間などの区切りでスッとやめられるか、休み時間に反射的にスマホを出してしまうかといった行動は、依存傾向のヒントになります。

さらに、学業や仕事が乱れる、睡眠不足で遅刻や欠勤につながるなど、社会生活に支障が出ている場合は「病気の水準に近い」といった見立ても示されています。

私は、いきなり自分を責める前に、「どこで区切れなくなっているか」を一つずつ見つけたいです。寝る直前、移動中、休み時間など、引き金になる場面が分かると対策が作りやすいからです。

私は、勉強や仕事、睡眠が崩れているなら「困っている事実」を優先します。困りごとが出ているなら、使い方を変える必要があるサインだと思っています。

まずは“触らない場面”を決めて、15分から増やす

樺沢氏は、依存をほどく第一歩として「歩きスマホをやめる」ことを挙げ、加えて「歩いているときはしない」「風呂ではしない」「電車では読書する」「休み時間は会話する」といった具体的なルール化を提案しています。電車の移動時間だけでもスマホを触らない状態が作れると、依存から抜け出しやすいという説明もあります。

さらに、1日の中で15分〜30分ほど「まったく触らない時間」を少しずつ増やす方法が示されています。30分が難しければ15分でもよい、という段階設計も含まれています。

私は、スマホを減らすときに「禁止」より「場面を決める」ほうが続けやすいと思っています。歩くとき、風呂、電車など、まずは一つだけ“触らない場所”を作ります。

私は、15分でも触らない時間が作れたら、それを成功として積み上げたいです。少しずつ増やしていけば、自分でコントロールできる感覚が戻ってくると思っています。

インプット中心から、アウトプット中心へ切り替える

樺沢氏は、ただ眺め続けるようなインプット中心の使い方は脳の活性を下げやすい一方、書く・質問する・投稿するなどのアウトプットを伴う使い方は脳が活性化しやすいという考え方を示しています。動画を見ながら気づきを書く、疑問を書くといった行為も、アウトプットとして位置づけられています。

このテーマで重要なのは、スマホを敵にするのではなく、コントロールできる形に作り替える視点です。樺沢氏は「やめたいのにやめられない」という状態を手がかりに、触らない場面を先に決め、短いオフ時間を増やし、使うならアウトプット中心へ移す道筋を示しています。生活の中で注意・集中が戻る土台を整えることが、結果として記憶の不安を軽くする方向につながります。


出典

本記事は、YouTube番組「【悲報】10代でも認知症症状が現れる2大原因 【精神科医・樺沢紫苑】」(精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)の内容をもとに要約しています。

読後のひと考察──事実と背景から見えてくるもの

若い世代でも「話した内容をすぐ忘れる」「さっき読んだところを覚えていない」といった経験が重なると、「もしかして認知症では」と不安が高まりやすくなります。しかし疫学的には、30歳未満で起こる神経変性疾患としての認知症は極めてまれであり、多くのケースは別の説明可能性を検討する余地が大きいと考えられます[3]。

認知心理学の研究では、記憶は単独で働くのではなく、「注意」と密接に結びついたプロセスとして説明されています。重要なのは、入力時にどれだけ注意が向いていたか、そして短時間のあいだ情報を保持し処理するワーキングメモリにどれだけ余裕があったかという点です[1]。この視点から見ると、スマホ通知で絶えず注意が分断され、睡眠不足や運動不足で脳の負荷が高まっている生活では、「認知症のように見える物忘れ」が起こりやすい背景が浮かび上がってきます[2,4–7]。

以下では、①本当に懸念すべき認知症との違い、②注意と記憶の関係、③スマホ・睡眠・運動に関するエビデンス、④研究の限界と異なる見方、という順に整理し、最後に日常生活での具体的な見直しポイントをまとめます。

問題設定/問いの明確化

まず確認したいのは、「10代・20代前半の物忘れ」が、医学的な認知症とどの程度重なるのかという問いです。若年発症認知症は「65歳未満で発症する認知症」と定義され、世界的な有病率は30〜64歳全体で人口10万人あたり119人と推計されています[3]。さらに年齢を細かく見ると、30〜34歳では10万人あたり1.1人とされており、10代〜20代前半での発症は統計上ほとんど報告されていません[3]。

一方で、「年齢を問わず、日常生活に支障をきたすほど記憶や判断力が落ちている場合は専門医受診が必要」という医療的前提も動きません。したがって、10代の物忘れを考えるときには、「神経変性疾患としての認知症の可能性評価」と同時に、「生活習慣や心理状態に伴う可逆的な認知機能低下」の両方を視野に入れる必要があります。

本稿の中心的な問いは、「若年層で認知症のように見える物忘れが起きるとき、その多くはどのような仕組みと生活要因で説明できるのか」「スマホや睡眠・運動をどのように整えると、認知機能の“土台”を守りやすいのか」という2点です。

定義と前提の整理

次に、議論の土台となる用語を整理します。認知症は、記憶、思考、見当識など複数の認知機能が持続的に低下し、仕事や学校生活など日常生活に支障を来す状態として定義されます。その原因にはアルツハイマー病などの神経変性疾患が含まれ、多くは中高年期以降に発症します[3]。

一方、若年層でよくみられるのは「主観的な物忘れ感」や、一時的な注意力・集中力の低下に起因するパフォーマンス低下です。注意と記憶の関係を総説したレビューでは、外界から入ってくる情報はまず長期記憶の一部を活性化させ、そのうちごく限られた情報だけが「注意の焦点」に入ることで、短期記憶や長期記憶として保持されると説明されています[1]。つまり、注意の焦点に載らなかった情報は、そもそも「覚えていない」状態になりやすいと考えられます。

スマホ利用についても、前提の整理が重要です。研究分野では「問題となるスマホ使用(problematic smartphone use)」や「スマホ依存」といった概念が用いられ、①使用時間や頻度を自分でコントロールできない、②生活や学業・仕事に支障が出ている、③やめたいと思ってもやめられない、といった特徴を持つ行動が議論されています[4]。これらは従来の行動嗜癖と共通点がある一方で、定義や診断基準はまだ揺れている段階とされています[4]。

また、「何時間使っているか」だけでなく、「どのような使い方をしているか」も区別が必要です。客観的なログと日記法を組み合わせた研究では、1日の総スクリーンタイムよりも、短時間に何度もスマホをチェックする頻度のほうが、日々の「うっかりミス」や物忘れ(認知的失敗)と強く関連していたことが報告されています[2]。この結果は、注意の分断やマルチタスク的な使い方が、認知機能にとってより負荷になりやすい可能性を示唆しています。

エビデンスの検証

1. 注意が乱れると「聞いていたはずのこと」を忘れやすくなる

注意と記憶の統合モデルでは、「注意の焦点」に入る情報の量はきわめて限られており、複数の刺激を同時に処理しようとすると、一つひとつの情報への割り当てが薄くなるとされています[1]。このとき、外形的には授業や会話に「参加している」ように見えても、本人の意識はスマホ通知や別の考えごとに向いていると、音声情報は短時間で消えてしまい、長期記憶に残りにくくなります。

日常で「聞いたはずなのに思い出せない」という現象の一部は、実際には「きちんと注意が向いていなかった」「ワーキングメモリの容量が他の心配事で埋まっていた」結果である可能性があります。注意資源がストレスや不安に取られている場合も同様で、記憶力そのものの問題というより、「入力が乱れている」状態として理解したほうが現実に近いとする見解もあります[1,4]。

2. スマホ利用と認知機能:時間より「細切れチェック」の影響

スマホ利用が認知機能に与える影響については、近年、客観的ログを用いた研究が増えつつあります。成人を対象とした日記研究では、1日の中でスマホを何回チェックしたかが多い人ほど、「物を置き忘れる」「会話の内容をすぐ忘れる」といった日常の認知的失敗の自己報告が多い傾向が示されました[2]。興味深い点として、総利用時間そのものは、一律に悪影響を示しているわけではなく、用途によっては認知的失敗が少ない群もあったと報告されています[2]。

この結果からは、「長時間だから必ず悪い」という単純な図式ではなく、通知やSNSのタイムラインを反射的にチェックし続けるような使い方が、注意の分断を通して「集中しづらい頭の状態」を作りやすいという解釈も可能です。注意と記憶のモデルとあわせると、認知負荷が高い場面では「スマホを視界から外す」「通知をまとめる」といった環境調整が、記憶の土台づくりに役立つと考えられます[1,2]。

さらに、問題となるスマホ使用に焦点を当てたシステマティックレビューでは、不安や抑うつ症状が強い人ほどスマホ使用が過剰になりやすく、その逆に、過度な利用が不安・抑うつの悪化と結びつく可能性も指摘されています[4]。つまり、「スマホの使いすぎ」が単独で原因というより、もともとのストレスやメンタルヘルスの状態と相互作用しながら、注意・集中力の低下や物忘れ感を強めていく構図が想定されています[2,4]。

3. 運動不足と座位時間の増加がもたらす影響

一方、運動と認知機能の関係はどうでしょうか。世界保健機関(WHO)の2020年ガイドラインを支えるエビデンスを整理したレビューでは、5〜17歳の子ども・若者において、「身体活動量が多い」「強度が高い」ほど、心肺機能や体脂肪、メンタルヘルスなど複数の健康アウトカムが良好であることが示されています[7]。また、座位時間(とくにスクリーンを見ながらの座位)が長いほど、好ましくない健康指標と関連するという報告も多いとまとめられています[7]。

このレビューは、学力や注意などの認知指標だけを直接扱っているわけではありませんが、身体活動メンタルヘルスや全身状態の改善を通じて、結果的に学習や仕事のパフォーマンスを支える可能性を示しています[7]。少なくとも、「運動は時間のロス」と考えるより、「頭の回復時間」として確保する発想のほうが、エビデンスには近いと言えます。

4. 睡眠不足と若年層の現状

睡眠に関しては、短時間睡眠がさまざまな健康リスクと結びついていることが、成人を対象としたメタ解析で繰り返し報告されています。日本の研究者による総説では、短い睡眠時間は肥満、高血圧、糖尿病、うつ病などのリスク上昇と関連し、総死亡リスクとの関連も示されました[6]。これは、慢性的な睡眠不足が脳だけでなく全身の負担となる可能性を示す結果です。

日本の中高生を対象に2004〜2017年の大規模調査データを解析した研究では、入眠困難や主観的な睡眠の質についてはやや改善傾向がみられた一方で、「短時間睡眠」と「就寝時刻の遅延」はむしろ増加していたことが報告されています[5]。具体的には、短時間睡眠のオッズ比が経年的に有意に増加し、平日の就寝時刻が遅くなる傾向が示されました[5]。これは、若年層の生活リズムが「遅く・短く」なっていることを意味します。

こうした状況を受け、厚生労働省は2024年に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表し、年齢区分ごとに望ましい睡眠時間や睡眠の質の指標、生活習慣の整え方を提示しています[8]。ガイドでは、睡眠時間の「長さ」だけでなく、起床時の休養感や日中の眠気の有無といった「質」の側面も重視し、電子機器との付き合い方やカフェイン摂取のタイミングなども含めた実践的な提言がまとめられています[8]。

10代で「物忘れ」を自覚しているケースの中には、こうした睡眠不足と生活リズムの乱れが背景にあり、結果として注意力・集中力が落ちている可能性も十分に考えられます[5,6,8]。

反証・限界・異説

ここまでの議論には、いくつかの重要な留保があります。第一に、「スマホ=悪」という単純化は、研究結果とは必ずしも一致しません。前述のスマホログ研究では、利用時間全体は一律に悪影響を示しておらず、目的志向的な利用(情報検索やスケジュール管理など)では、日常の認知的失敗が少ない群も報告されています[2]。このことから、スマホそのものを一律に否定するより、「いつ・何のために・どのように使うか」という質の問題に目を向ける必要があると考えられます。

第二に、問題となるスマホ使用とメンタルヘルスの関係は、多くの研究が横断研究であり、「どちらが原因か」を明確に区別しきれていません。システマティックレビューでは、抑うつや不安が強い人ほどスマホ依存傾向が高い一方で、過度の利用が不安・抑うつ症状の悪化と関連していると報告されていますが、多くは相関の段階にとどまります[4]。実際には、ストレスや不安→スマホに逃避→睡眠や学業の乱れ→さらにストレス増大という悪循環の一部として位置づける捉え方もあります。

第三に、運動や睡眠に関するエビデンスも、すべてがRCT(無作為化比較試験)で示されているわけではありません。WHOガイドラインを支えるレビューでは、多数のシステマティックレビューを統合しつつも、「身体活動と座位行動の量と健康アウトカムとの正確な用量反応関係」については、依然として不明点が多いと述べられています[7]。睡眠に関するメタ解析も、観察研究の限界や自己申告データのバイアスを抱えており、因果関係の解釈には慎重さが求められます[6]。

第四に、若年発症認知症は非常にまれとはいえ、実際に発症する若い患者が存在することも事実です[3]。物忘れに加え、見当識の著しい乱れ、言葉が出てこない、性格変化や行動異常、けいれんなどの神経学的症状が進行している場合には、「年齢が若いから大丈夫」とは言えません。この点では、「多くは生活習慣由来で説明できる」という一般論と、「一部には早期発見が重要な疾患が潜む」という両方の視点を持つ必要があります。

実務・政策・生活への含意

以上を踏まえると、10代・若年層の「認知症のような物忘れ」を前にしたとき、現実的な対応として次のようなステップが考えられます。

第一に、「どの場面で物忘れが起きているか」を具体的に観察することです。授業中や会話中に起きるのか、試験勉強の暗記が続かないのか、あるいは約束や持ち物を頻繁に忘れるのか。場面が特定できると、その直前にスマホマルチタスクをしていないか、睡眠時間は十分か、疲労度はどうかといった要因を結びつけやすくなります[1,2,5]。

第二に、「注意が必要な時間帯だけでも、スマホの刺激を弱める」環境づくりが考えられます。具体的には、①勉強や重要な会話のあいだは通知を切る、②机の上では視界に入らない場所に置く、③SNSや動画アプリは時間帯を決めてまとめて見る、などです。これは、チェック頻度の高さが日常の認知的失敗と関連していたという知見と整合的な対策と言えます[2]。

第三に、睡眠と運動を「認知機能のインフラ」として扱う視点です。短時間睡眠が身体疾患やメンタルヘルスの悪化と関連していること[6]、日本の10代では短時間睡眠と遅い就寝時刻が増加していること[5]、そして政策レベルで睡眠の量・質の改善が重視されていること[8]を踏まえると、「まず眠れる環境を整える」ことは、特別なトレーニングよりも効果的な第一歩になり得ます。

運動についても、WHOのガイドラインは、子ども・若者に対して日常的な中強度〜高強度の身体活動と座位時間の削減を推奨しており、メンタルヘルスを含む多面的な健康アウトカムの改善と関連づけています[7]。通学時に一駅歩く、エレベーターではなく階段を使う、軽いランニングや部活動を続けるなど、小さな行動の積み重ねが、結果的に「頭が冴えやすい」状態を支えます。

政策や学校現場のレベルでは、①夜間に及ぶ部活動や塾の時間設定の見直し、②スマホ・睡眠・メンタルヘルスをセットで扱う健康教育、③教材や連絡のオンライン化に伴う「24時間つながりっぱなし」状態を避けるルールづくりなどが検討テーマになります。若年層の生活リズムやデジタル環境そのものを調整することで、個人の努力だけに依存しない形で認知機能を守る仕組みを作ることが、今後の課題と考えられます[5,7,8]。

まとめ:何が事実として残るか

本稿で扱ったデータと論文から、若年層の「認知症のような物忘れ」について比較的確からしいと考えられるポイントを整理すると、次のようになります。

第一に、30歳未満で神経変性疾患としての認知症が発症するケースは統計上きわめてまれであり、多くの10代の物忘れは、注意や生活習慣の問題としてまず検討される余地が大きいということです[3]。

第二に、記憶は注意と切り離せず、注意の焦点にうまく載らなかった情報は「覚えていない」状態になるという認知心理学の知見が蓄積されています[1]。スマホの細切れチェックやストレスにより注意が分散すると、「聞いていたつもりで覚えていない」現象が増えやすくなることは、理論的にも実証的にも説明可能です[1,2]。

第三に、問題となるスマホ使用は、不安や抑うつといったメンタルヘルスの問題と双方向に関連しており[4]、頻回のチェック習慣は日常の認知的失敗の増加と結びついています[2]。ただし、全てのスマホ利用が有害というわけではなく、用途や使い方によって影響は異なることも示されています[2,4]。

第四に、日本の若年層では短時間睡眠と遅い就寝時刻の増加が観察されており[5]、短い睡眠時間は身体疾患やメンタルヘルス悪化と関連することがメタ解析で示されています[6]。これを受け、国レベルで睡眠の量と質の改善が政策課題として掲げられている点も重要です[8]。

第五に、運動と座位時間については、WHOガイドラインを支えるレビューで、「より多く・より強度の高い身体活動」と「座位行動の削減」が、子ども・若者の健康指標全般の改善と関連していることがまとめられています[7]。運動は単なる体力づくりではなく、認知やメンタルを支える生活基盤として位置づけられつつあります。

一方で、これらの知見の多くは観察研究に基づいており、因果関係の向きや個人差についてはまだ不確かな部分が残ります。したがって、「スマホさえ減らせばすべて解決する」「運動さえしていれば認知症にはならない」といった単純なメッセージには慎重であるべきです。

現時点で言えるのは、10代・若年層の物忘れをめぐっては、①注意と記憶の関係を踏まえて入力環境を整えること、②スマホ、睡眠、運動といった生活習慣をパッケージで見直すこと、③日常生活に明らかな支障が出ている場合には年齢にかかわらず専門家に相談すること、この三つをバランスよく組み合わせる必要があるという点です。どの要素がどれだけ効くのか、どの組み合わせが最適なのかについては、今後も縦断研究や介入研究による検証が求められ、引き続き検討が必要とされます。

本記事の事実主張は、本文の[番号]と文末の「出典一覧」を対応させて検証可能としています。

出典一覧

  1. Cowan N, Bao C, Bishop-Chrzanowski BM, et al.(2024)『The Relation Between Attention and Memory』 Annual Review of Psychology 75:183–214 公式ページ
  2. Hartanto A, Yong JC, Lee ST, et al.(2023)『Smartphone use and daily cognitive failures: A critical examination using a daily diary approach with objective smartphone measures』 British Journal of Psychology 114(1):70–85 公式ページ
  3. Hendriks S, Peetoom K, Bakker C, et al.(2021)『Global Prevalence of Young-Onset Dementia: A Systematic Review and Meta-analysis』 JAMA Neurology 78(9):1080–1090 公式ページ
  4. Elhai JD, Dvorak RD, Levine JC, Hall BJ(2017)『Problematic smartphone use: A conceptual overview and systematic review of relations with anxiety and depression psychopathology』 Journal of Affective Disorders 207:251–259 公式ページ
  5. Otsuka Y, Kaneita Y, Spira AP, et al.(2021)『Trends in sleep problems and patterns among Japanese adolescents: 2004 to 2017』 Lancet Regional Health – Western Pacific 9:100107 公式ページ
  6. Itani O, Jike M, Watanabe N, Kaneita Y(2017)『Short sleep duration and health outcomes: a systematic review, meta-analysis, and meta-regression』 Sleep Medicine 32:246–256 公式ページ
  7. Chaput J-P, Willumsen J, Bull F, et al.(2020)『2020 WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour for children and adolescents aged 5–17 years: summary of the evidence』 International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 17(1):141 公式ページ
  8. 厚生労働省(2024)『健康づくりのための睡眠ガイド2023』 厚生労働省ウェブサイト 公式ページ