相手を「依存させる」技術とは?
DaiGo氏が語る今回のテーマは、きわめて人間心理の深層に踏み込むものでした。「相手を依存させるテクニック」。恋愛からビジネスまで、相手の心をこちらに傾かせ、しかも“離れられなくする”──そんな魔法のような手法が本当に存在するのでしょうか?
この動画では、それが可能であるどころか、「うっかりやってしまっている人」さえいるという点にも警鐘が鳴らされています。DaiGo氏は、このテクニックを「悪用厳禁」としたうえで、依存の構造を3つのステップに分けて説明します。
ステップ1:性格を「ただ当てる」だけでは足りない
まず最初に、依存を生み出す第一段階は「相手の性格を正しく理解すること」。これは当然のようにも聞こえますが、DaiGo氏はそれだけでは不十分だと指摘します。
たとえば、相手に「あなたって〇〇なタイプですよね」と性格診断のようなことをしても、それは“ただの占い師”に過ぎません。確かに理解はしている。でもその理解をそのまま相手に伝えてしまっては意味がないのです。
本当に相手を惹きつける人たち──DaiGo氏が例に挙げたのは、カリスマ的な教祖や、依存させるのが上手い一部の占い師、あるいは宗教的リーダーたち──は、この“ただの理解”を超えているといいます。
ステップ2:「現実逃避」に共感し、演出する
ここが最大の核心です。2つ目のステップは、相手の「現実逃避」を理解すること。
人は誰しも、持って生まれた性格(たとえば「外交的ではない」「繊細」など)と、社会的に求められる役割(たとえば「みんなと協調しよう」「笑顔で場を盛り上げよう」)とのギャップを抱えています。
このギャップが大きいほど、人は“偽りの仮面”をかぶるようになります。つまり、人前では外交的に振る舞っているけれど、実は一人で静かに過ごしたい内向型であったり、自信たっぷりに見せていても、内面では不安定だったりします。
この「仮面」と「本音」のズレ──ここを見抜いて、そっと寄り添うことこそが、依存を生むポイントなのです。
たとえばDaiGo氏は、こんなふうに語りかけると相手に刺さるといいます。
「いろんなパーティーとか参加されてますけど、本当は人と話すのあまり得意じゃないですよね。大変ですよね」
この一言で、「この人は本当の自分を分かってくれる」という感覚が生まれます。
集団の前と二人きりでは、真逆の演技を使い分ける
DaiGo氏が強調するのは、「相手の現実逃避に寄り添う」だけでは不十分だという点です。さらに一歩進めるには、シーンごとの対応を変える必要があります。
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複数人がいる場では:相手の仮面(=現実逃避)に同調する
→ 相手が周囲に見せたい「理想の自分像」にあえて乗っかる。 -
二人きりの場では:相手の本質をそっと指摘する
→ 「本当は無理してるよね」と核心を突く。
このギャップが「他人には言えないことを理解してくれた」という特別感を生み、DaiGo氏いわく、“最高の理解者”になれるのです。
しかし、もし逆をしてしまったら──たとえば、人前で相手の本音をバラしたり、二人きりでも仮面に合わせるばかりだったら──信頼関係は構築されず、依存も生まれません。
この「共感と演出」の使い分けこそが、プロフェッショナルな人心掌握術といえるでしょう。
ステップ3:好意を見せてから「どっちつかず」で引く
ここまでで相手はすでに「自分のことを分かってくれる人」として好意を抱き始めます。では、そのまま愛情や信頼を返せばよいかというと──DaiGo氏は**「むしろここで引く」**ことが依存を生み出すカギだと説きます。
つまり、相手の気持ちが盛り上がってきたところで、あえて“つかみきれない態度”を取る。これは心理学的に言うところの「不確実性の強化」(intermittent reinforcement)と類似しており、人間が「得られるかどうか分からないもの」に対して執着心を強めてしまう性質を活用しています。
たとえば、こんな対応が効果的だといいます。
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明らかに自分のことを好いているそぶりを見せていた相手に対して
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ある時から、少し距離をとってみたり
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はっきりと好意を示さない曖昧な反応を返したりする
このようにして「この人、自分のことどう思ってるんだろう?」という揺らぎを意図的に作ることで、相手は不安と期待の間を行き来し、結果として依存的になるのです。
「安心」の後に「不安」を与える構造
ここでDaiGo氏が面白い指摘をしています。「不安」とは「不・安心」と書くように、一度安心を得たあとに壊れそうになることで生まれる感情だというのです。
この構造は、カルト宗教や一部の詐欺まがいの手法にも見られます。
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最初に「理解者」の顔で近づき、安心感を与える
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次にあえて関係性を不明瞭にしたり、不安を与える
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そしてその後、再び「救いの手」を差し伸べる
このサイクルが繰り返されることで、相手は逃れられない心理的依存状態に陥っていく──これはまさに、「悪用厳禁」という注意喚起の意味が込められている部分でもあります。
無意識で「依存させてしまう」人が注意すべきこと
さらにDaiGo氏は、「この手法を意図せずやってしまっている人」が意外と多いという点に注意を促しています。
たとえば、コミュニケーション力が高い人ほど、こんな行動を無意識に取ってしまいがちです。
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人前では相手の見せたい顔に同調して話す(社交スキル)
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でもふとした瞬間に、「実はこうなんじゃない?」と本質に触れる発言をしてしまう
この組み合わせが、結果として相手に**「この人、自分のことちゃんと見てくれてる」「もしかして自分に好意あるのでは?」**と誤解を生むきっかけになります。
そしてそのまま距離を取らずに同じような関係を続けてしまうと、相手はさらに混乱し、気がついたら強い依存状態になってしまう──。
そのため、もし相手に依存させるつもりがないなら、2人きりの場でも「本質」には触れないほうがよいとDaiGo氏はアドバイスしています。あえて「この人、表面的な人なんだな」と思わせることで、依存は避けられるという逆説的なテクニックです。
結論:依存とは「理解と不安のバランス」である
ここまでの内容を総括すると、DaiGo氏が示した「相手を依存させる三段階テクニック」は、以下の構造を持っています。
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性格を正確に理解する(占い師レベルではダメ)
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「仮面」と「本音」のズレを見抜き、場面ごとに演じ分ける
- 人前では仮面に乗っかる
- 二人きりでは本音を指摘する -
相手が好意を抱き始めたら、あえて距離を取る
- 「安心 → 不安 → 依存」という心理サイクル
この一連のプロセスは、恋愛関係だけでなく、ビジネスや対人関係全般に応用可能です。しかし同時に、それが相手にとって強烈な心理的影響を与える手法であることを忘れてはなりません。
だからこそ、DaiGo氏は何度も繰り返します──**「悪用厳禁」**であると。
まとめ
この動画を通して語られたのは、単なる恋愛テクニックではありませんでした。むしろ、人間関係に潜む「依存の構造」と、それを生み出す言葉と行動の緻密な設計に関する“実用的な心理学”でした。
理解、共感、演出、そして距離感。この4つを意図的に使いこなすことができれば、人は他人の心を操作することさえできる──その一方で、自らの言動が誰かを無意識に傷つけてしまう可能性もある。
だからこそ私たちは、この知識を「自衛のため」にも活かすべきなのかもしれません。依存を生む側になるか、依存される側になるか。どちらの立場にあっても、冷静に自分と相手を見つめ直すヒントが詰まった動画でした。
出典:メンタリストDaiGo「悪用厳禁!好きな人からお得意先まで使える“相手を依存させる技術”」
(https://youtu.be/zACOFFaxJss)